本と映画と日常と

自分が読んだ本、鑑賞した映画と日常の徒然を書き留める備忘録ブログです。感想記事にはネタバレもありますので、各自の判断と責任のもと閲覧くださいませ。

『サイメシスの迷宮 忘却の咎』感想

 

サイメシスの迷宮 忘却の咎 (講談社タイガ)
あらすじ:
天才プロファイラー・羽吹允は、9歳のときに誘拐され、1年後に発見されてから、超記憶症候群を発症していた。
20年ぶりに会った小学校の友人からもたらされた情報は、最近起きた事件と過去の誘拐を結びつけるものだった。
記憶を丹念にサーチする羽吹に見知らぬ番号からSMSが届く。
指定された部屋にあった変死体は、過去の事件の関係者。
羽吹の記憶の扉は開くのか。
(「BOOK」データベースより)
※読了時間:3時間

参照:
シリーズ1作目『サイメシスの迷宮 完璧な死体』感想はコチラ
シリーズ2作目『サイメシスの迷宮 逃亡の代償』感想はコチラ

 

【ここから感想です】

 

5月発売&購入したにも関わらず、積読期間が長すぎて今ごろ読了。
勝手になんとなくサイメシス3部作と思い込んでいたのですが、まだまだ続きますよ、という感じの終わり方でした。

『完璧な死体』『逃亡の代償』では、メインとなる1つの事件を追い、そこに羽吹が幼いころ巻き込まれた事件の犯人と同一人物ではないかと仄めかせる構成だったのですが、今回は羽吹が過去に遭遇した事件の追跡がメインで、現在進行形で起こっている事件は背景に近い感覚で読みました。
いくつかの単発事件がさらっと書かれ、それよりも無意識の防御本能が働くのか、遅々としながらも羽吹が喪失している失踪時の記憶を辿るお話がメインになっている印象だったので、いくつかの現在進行形事件の解明に私の意識が強く向かず、露骨に存在を主張し始めてきた「ニコニコマーク」の正体が誰か、という点に意識が向かいがちになる展開でした。

シリーズ1作目の『完璧な死体』のころから、羽吹の友人、五十川さんという存在が、羽吹にヒントを与えるだけの存在として登場しているはずがないと思っているのですが、私の中ではまさかの「羽吹失踪事件の関係者」それもあまりよろしくない方向の、という予想を立ててしまう内容だった気もします。
見事にミスリードされているだけ、という可能性が高いのですが。笑
前作で「出て来てないんだよね」と言っていた五十川父も出てきました。
この作家さん、意味のない人物を登場させない人という認識でいるので、五十川父子がキーパーソンという気がしてきました。

基本的に本作では、羽吹の鬱々モード全開なので、時折挟まれる神尾兄妹との絡みが救いになりました。笑
神尾くんのオカン度(と妹の光莉ちゃんに対するオトン度)に磨きがかかっております、なごむ…。笑

出先での時間つぶしに読んだため、中座も含めての読書だったため、きちんと精読できていない部分もあろうかと思いますが、今回のメインとなる事件の被害者が、かつて羽吹失踪時に殺人事件被害者となった人の子どもだったため、何かと過去の事件とリンクしているようでしていなくて…という曇りガラスの向こう側が見えるようで見えない、みたいな歯痒いものが終始付きまとっていて、続刊はまた1年後なのか…と、待ち遠しい終わり方でした。
最後の最後で、まさかそこで終わるのか…という、なんとも苦々しい終わり方…。
発売4月&購入5月だったので、今ごろ読めたとか積読期間長すぎ、と思う一方で、のんびりしておいてよかった、発売直後に読了していたら1年もジレジレしていないといけなかったのか、と妙な慰め方をしたり。笑
続刊も来春になるのでしょうか。
あと8-9ヶ月くらい?
根気よく待つことにします。