【21.01.12.】『黒執事(1)-(30)』感想
【ここから感想です】
15周年記念ということで、期間限定無料版を一気に斜め読み、という状態での感想になります。
実は3-6巻が発売されていた当時、気になったものの購入を諦めていた作品でしたが、結論として、「地道に買い集めよう」と即決した作品になりました。
久々に『後悔先に立たず』『覆水盆に返らず』を痛感した次第です…面白い…。
どんな物語かを一言で言えば、
『主人公である13歳の少年シエルが、自分に屈辱を味わわせた根源たるモノに同じ屈辱を味わわせるため、悪魔と契約して目的を達成させる物語(現段階は遂行中で目的未達成)』
と言ったところでしょうか…。
(ネタバレになってしまうのでしょうか…取り敢えず執事のセバスチャンは悪魔、ということで)
何より感心(感動?)したのは、(私自身の知識が搔い摘んだ程度の乏しいものではありますが)英国貴族の家に生まれたと同時に背負わされるもの、それによるモラル等の概念、当時の英国(だけに限らないと思いますが)では、子どもを「小さな大人」として扱うという認識など、今の日本で生きる私たちには架空としか思えない感覚で考え行動する主要人物たちに、私たちが共感できる思いもうまく乗せてキャラクターを際立たせているところ、と言うのでしょうか。(うまく言葉に置き換えられない)
サブキャラクターに至るまで、どの登場人物も個性的で、時に生々しく、物語が進むにつれて序盤ではモブの立ち位置でしかなかったはずの人物にも関心が行くようになると、そこで初めてその人物の過去が少しずつ開示され…と、途中で読むのを止められない話の流れで寝不足になりました。笑
元々詳しくなかったり関心がなかったり、といったパブリックスクールの内情やシステムも、関心を持ったので調べてみれば実情にかなり近い描写になっていたりと、作者さんの勉強熱心さも伝わって、面白く読ませてもらいました。
何気ない言葉遊び(?「あくまで執事ですから」とか)や、2読目で「そういうことか!」と気付かされる、さりげない言い回しによる伏線とその回収など、気付いたときの「ああ!」という感覚は、2周目を読んだときに初めて得られるもので、まだ取りこぼしがあるのではという気になり、紙で買おうと思わせるほどです。
当初は、稀なほど無垢な魂が黒く染まっていくほど旨味が増すだろう、という期待からシエルをそそのかしたセバスチャンが、シエルとの契約内容から人間を装って生活する中で、微妙に心情の変化がみられる気がして、そこが自分の読み違いかどうかも気になるところです。
主要人物と、彼らを取り巻く周囲の人間との関係がとても面白い作品。
かなり重い過去を背負っている人物ばかりなのに、笑いどころとの織り交ぜ方が絶妙なので暗い話になっていないのも、サクサク読み進められる理由かもしれません。
グレンさん(死神)がいい味出しています。笑
気になったならすぐに買おう、と痛感させられた作品でもありました…頑張って30巻揃えます。