本と映画と日常と

自分が読んだ本、鑑賞した映画と日常の徒然を書き留める備忘録ブログです。感想記事にはネタバレもありますので、各自の判断と責任のもと閲覧くださいませ。

【19.04.12.】『外道の歌』『園田の歌』プチ感想

 

外道の歌(1) (ヤングキングコミックス)

外道の歌(1) (ヤングキングコミックス)

 

あらすじ:
書店も電子書籍も超話題の売れ筋コミック「善悪の屑」の第2部!
法で裁けない屑には屑による直接制裁を!
復讐代行人の一人「カモ」の過去が遂に明らかに!?
残酷でも読み終えた後にスッキリする本当の「正義」の意味を問う問題作!
amazon.co.jp内容紹介より)

 

あらすじ:
「善悪の屑」「外道の歌」のスピンオフ作品。
「善悪の屑」2巻で発生している「練馬区の殺人鬼」事件の犯人、園田が主人公の物語。
大学時代の園田のキャンパスライフストーリー…という「青春」を連想させる舞台設定なのに、そこにあるのは園田やその周辺にいる人間の闇ばかりが蠢いている、という内容。

 

【ここから感想です】

 

 

3月は読むほうに時間を取られていたので、一向に感想を書きだすことができていませんでした、気付けばもう4月も半ば…。
ネタバレのない程度のプチ感想に留めましょう。汗

読了直後は、それぞれにものすごく書き出したい感想がたくさんあったので、別記事として書くつもりでいたのですが、まとめてもいい気がしてきました。
『善悪の屑』で有害認定を喰らったのが影響しているのか、だいぶソフトな作風に変わっていました。
でも、本質は変わらない、というか。

『園田の歌』はカモさんシリーズの渡邊氏が原作なので、著者が別でも違和感なくキャラクターの性格や行動原理が継承されているような作風になっていました。
こちらでは園田が主人公なのですが、一応主人公補正(?)なのでしょうか、彼がターゲットした相手は「まあ、そうされても仕方ないよな」と思える人間でしたが、園田のおかげで気付けたことがありました。
(勘違いかもしれませんが…)
『園田の歌』に於ける園田も、『善悪の屑』『外道の歌』のカモさんも、自分が人として超えてはならない一線を越えてしまっている自分を客観的に受け入れていて、そこに正義なんて欠片ほどもない自覚があって、自分の欲求を満たしているだけという自覚があるのかな、と。
通じて「思考」では分かっていたんですが、感情の面で初めて理解した(かもしれない)気がしました。
なんとなく、正義という大義名分をもとに、ネットのあちこちで人を叩いている人とカモさんや園田が重なっているようでいて微妙にずれている、という感覚が生まれたんですね…。
この2人は、自分が悪事を働いていることと、自分の欲求を満たしていること、そして行動したところでその欲求が満たされる日は永遠に来ないと言うことも知っている。
それでも抑え切れないから欲求を行動に移している、という風に見えたんです。
だから嫌悪し切れないのかもしれないと思いました。
園田とカモさんの違いは、カモさんの動機が読者が理解できるきっかけ=家族を惨殺されたことによる憎悪であるのに対し、園田には歪んだ創作欲求という一般で理解できる人がかなり少ないきっかけであることではないか、と。
なので、園田に共感できる部分はあまりなく、ただ知りたいと思う欲求は理解できる、という感じの読後感でした。
いずれにせよ、自分が正しいと信じて別の視座に立てないまま、相手を叩くのは怖いなあ、と明後日の方向な感想を持ってしまった次第です。