【19.10.03.】『アイとアイザワ』感想
- 作者:かっぴー,うめ(小沢高広・妹尾朝子)
- 発売日: 2019/09/20
- メディア: Kindle版
視界に入る情報を瞬時に記憶する“カメラアイ”の持ち主である女子高生・アイ。
彼女は、時給一千万円の“高額バイト”に惹かれ、ついていった人工知能の研究機関・NIAIが開発するAI「アイザワ」に恋に落ちてしまう――。
このマンガは、そこから始まる人類の存亡を賭けた恋と戦いの冒険譚。
【ここから感想です】
諸事情により、購入した段階では電子でしか購入できない作品なのですが、そう遠くないうちに紙本も出そうです。 待ちきれずに電子で購入しました。
AIが効率や優生論を人類の進化における最優先事項と判断し、その過程で近日中に大戦が起こることを予測できているのに実行しようとする、というAIの計画を阻止しようとするカメラアイの能力を持つアイと、その計画を知るAIアイザワの奮闘を描く物語です。
アイはカメラアイであるがゆえに変わり者として孤立してきた子です。
一方のアイザワは、AIでありながら、最初にインストールされた人間のサンプル(?)が作家だったためか、AIの割にジョークを口にしたり(ただしつまらない。)、感情面の要素も覗かせる人間臭いAIです。
両親や数少ない大切な友人を守りたいアイと、芸術や小説などの文化を守りたいアイザワは、人間しか持ちえない感情や心といったものを尊重していて、それを守るために戦争や人類の半数が滅亡するに至る《フラグ》をへし折ってメインになっているAIの計画を頓挫させようと奔走するのですが、そのサイドストーリーとして、アイとアイザワの純愛が盛り込まれています。
アイは初めて自分と思考や感覚の速度が合うアイザワに惹かれ、アイザワはアイのそれらに加え、自分の憧れでもあった「人」であるアイにしか持ち合わせていないあれやこれやにも惹かれていきます。
ラスボスは予想外の存在(割と早めに正体は判明するのですが) そこにアイは葛藤するのですが、その辺りの話の流れが切なくて、ラストはとても切ないものでした…。
たった2巻で収めているのがビックリ、というくらい密度の高いお話でした。 どう面白いのかレビューを書こうとするとネタバレになってしまうのでレビューが難しいのですが、読んでいただくのが一番としか言いようがない作品でした。