本と映画と日常と

自分が読んだ本、鑑賞した映画と日常の徒然を書き留める備忘録ブログです。感想記事にはネタバレもありますので、各自の判断と責任のもと閲覧くださいませ。

【19.05.02.】『GANGSTA.』鑑賞

 

GANGSTA. Blu-ray BOX

GANGSTA. Blu-ray BOX

  • 発売日: 2017/06/23
  • メディア: Blu-ray
あらすじ:
マフィアの支配する街・エルガストルムで宅配から殺し、護衛に人探しまで、なんでも請け負う【便利屋】を生業にするウォリックとニコラス。
2人は警察やマフィアからも一目置かれ、どの組織にも所属しない中立な存在として、様々な依頼を引き受けていた。
そしてある日、警察から舞い込んだ依頼で、1人の娼婦と出会う。
閉ざされたこの街でしか生きられない健常者(ノーマル)たちと『黄昏種(トワイライツ)』と呼ばれる超人的な能力を持つ者たち。
つながり続ける、過去と現在。重なり合う、使命と運命。
――2人と一人が出会ったとき、街の混沌は加速する。
amazon内容紹介より)

 

【ここから感想です】

 


この動画は相関関係や世界観が分かりやすいので、まずはそちらから。

コミックが原作のアニメです。さすがキャラ立ちが半端ない…。
架空の世界ですが、やっぱりなんというか、実社会に蔓延する必要悪や差別意識格差社会などを連想させる世界観です。
その中で、それぞれが背負っている、自分ではどうしようもないモノに潰されそうになるも、精一杯自分であろうと足掻く主要人物たちの生きざまは、それぞれにカッコいいです。
アニメ放送当時(当時は存在を知らなかった私)、なぜか突然『漫画で分かりやすい手話』系のムック本が多数出ていたんですが、不思議だったんですよね。
ひょっとしてこれのニコラスが手話使いだからか?と妄想膨らむ…。
動画では字幕がついていますけれど、元々は字幕がついていないんですよね。
ニコラスはしばしば心情科白を呟くことがあるものの、基本的に何を考えているのか分からない面があるので、手話を覚えたくなる気持ちが分からないではない。笑

戦うお医者さん&幼女溺愛おっさんというハイスペックなテオ先生推しの私ですが、ウォリックの拗らせっぷりが見ていて一番好きです。
実は良家のお坊ちゃんなウォリックですが、妾腹ということで父親や異母兄、父親の正妻に疎まれているわ、父親にはいい捌け口にされて虐待されているわ、という不憫な幼少期を送っている。
一方のニコラスは、「はぐれ」と呼ばれる、どこにも属さず、エルガストルムに収容されることもなかった娼婦と、傭兵部隊に所属していた父親の間に生まれた子で、父親は娼婦にニコラスを生ませてそこそこまで育ったところで娼婦を殺した模様。
目的は、黄昏種(トワイライツ)のニコラスを使い捨ての駒として使い、面倒になったときはトワイライツを欲しがる金持ちに売り飛ばすため。
2人とも幼少期には、親の愛情に恵まれなかったがために愛情に飢えている一面があり、ウォリックが先にニコラスとの共通項を知って親近感を抱くんですね。
でも、まともに育ってない上に、聴覚障害を持つニコラスは、戦闘兵器として育っているので、人の心の機微が今ひとつ分かってない。
そんな幼少期から思春期にかけての2人の関係性に嵌りましてね…。(サディストか!)
ウォリックは、そういう出自と育ちなので、まあ友だちがおらずで、ニコラスは言わずもがな。
あれやこれや(は本編を是非!アニメなり原作なりで、是非!)があって今の関係になったんですが、その関係の受け止め方がお互いの中で違うというこのじれったさ。
ウォリックは友人でありたい一方で、にっくきトワイライツでもある、という拗らせっぷり。
ニコラスは何考えているか分からないので真意はどこにあるのか、でも明確にしているのは、ウォリックを「自分の契約主」という己の認識=ウォリックは友だちじゃない。
1人で契約主を自分に強いたり「相棒」を連呼して友だちアピールしたりと、一途で健気で忙しいウォリックはなんだかかわいいです、三十路過ぎたオッサンですが。笑

円盤をポチるのに躊躇したのは、制作のマングローブが倒産したとかで、アニメ1期の終わり方が、どう見ても2期ありますよ!って感じなのに、2期が出ないからでして…。
でも、フォロワーさんに返す段になったら、やっぱりもう見れないというのがツラすぎて結局ポチったわけですが、そのくらい作画やモーションが素晴らしかったです!
リアタイ放送時の作画崩壊は後半半端なかったそうですが、多分修正が入ったのだろうと思います。それほどひどくない…。
動画担当にProduction I.G.が入っているんですよね…I.G.さんで引き継いで2期以降も作ってくれないかな、と切実に思います…。
これから!佳境!!というところで終わってるのが、強く推せない理由…原作で補完しようと思っていますが、しゃべるウォリック&ニコラスの漫才は音と動きで観たいなあ、という我欲を抑え切れず身悶える…。

萌え語りはこの辺にしておいて、ストーリー面。
4大組織の抗争に便利屋が巻き込まれていく話ですが、元々そのうちの1つに所属していたウォリックとニコラスなので、所属していたモンローファミリーの人たちには恩義や情があります。
また、クリスチアーノファミリーはトワイライツにとって生命線組織、セレブレが入手できないのは死につながるわけなので。
諸悪の根源は、トワイライツ毛嫌い爺さんのコルシュカファミリーだと思うんですが、上記動画の紹介にある通り、大多数の健常者(ノーマル)が、トワイライツを嫌っているんですよね。
過去の戦争でセレブレを服用した人間が子孫を残したことで、本人の意思など関係なくトワイライツとして生まれてきたのに、勝手に疎まれ恐れられ嫌われる。
なんか、現実社会におけるマイノリティに対する偏見や嫌悪との符合を見てしまい、でももっと質が悪いのは、トワイライツがそのように生まれてしまう経緯を知っていて尚、彼らの戦闘能力を「道具」として利用していたり、差別したりするというノーマルのえげつない心理。
どっかで、よく見聞きする光景を連想してしまいます…。
ウォリックは、しばしばモンロー氏に釘を刺されるんですよね。
「おまえはニコラスのようにはなれない」
それはトワイライツのような強さを得たいという意味ではなくて、ニコラスという「個」を理解したいという欲求の具体的な手段として「ああなりたい」というものであって。
絶対に理解できない(当事者にならない限り、そんなもんだ)、でも理解しようともしないのとは、雲泥の差だと思うので、ウォリックの健気さが切ないです。(もっと足掻け悩め)
かたや、ニコラスは死に急ぎ野郎という感じで、筋肉バカという印象が。笑
というか、短命だし生きづらいし、とっととこの人生終わらせたい、みたいな絶望感というか、人と関わって生に執着するのが怖いのでは?と思わせる一面があるように感じます。
それぞれが、自分の意思など無関係に背負わされたそういったものと、どう折り合いをつけるのか、というのが私の中で一番の見どころになっているお話でした。
原作も連載中(しかも、最近やっと再始動とかなんとか?情報うろ;)とのことなので、私の寿命が尽きる前に完結してほしいです…。
コミックが届いたら&あまりにも黙っていられない内容だったら、完結していませんが、感想ぶち込むかもしれません。笑
それくらいドはまりする世界観とストーリー、キャラクターが魅力的な作品でした。
当面はマイブームで再読&再鑑賞を繰り返しそうです。笑