【19.01.23.】『ミステリと言う勿れ』感想
あらすじ:
冬のある、カレー日和。アパートの部屋で大学生・整がタマネギをザク切りしていると・・・警察官がやってきて・・・!?
突然任意同行された整に、近隣で起こった殺人事件の容疑がかけられる。
しかもその被害者は、整の同級生で・・・。
次々に容疑を裏付ける証拠を突きつけられた整はいったいどうなる・・・???
新感覚ストーリー「ミステリと言う勿れ」、注目の第一巻です!!
【ここから感想です】
1巻は主人公のパーソナリティをお披露目するためのオムニバス短編1本目という雰囲気のストーリーですが、とある殺人事件の容疑者とされた主人公を取り調べる刑事さんたちが、主人公とは別の意味で読む人の興味を引く人たちばかりです。
主人公が頭一つ抜きんでた個性的なキャラな一方で、刑事さんたちは私たちが暮らしている生活のどこかしら身近な誰かを投影してしまうキャラたち、なのに興味を持ってしまうのは、私たちであれば見落としたり見過ごしたりしている些細なことにも主人公が引っ掛かりを覚えて突っ込むからで(多分)、それによって掘り下げられた刑事さんたちがすごく魅力的に感じてくる、という感覚でした。
殺人事件の真犯人も、その事件が起きるきっかけになった別事件で濡れ衣を着せられた今回の事件の被害者も、読んでいて感情移入してしまう部分があるので切なかったです。
1巻後半から2巻では、3巻の物語へ継承されていくらしき新しい主要人物が登場し、この人たちがバスジャック事件を起こすのですが、主人公は完全に巻き込まれた格好です。
この辺りになると、読むほうは主人公に影響されて「おかしい」探しをしてしまいます。
(私はそうなりました。笑)
物語の中の人たちと一緒になって考える楽しさというのを初めて味わった気がします。
主人公の奇想天外と思える着眼点に助けられる形で、実際の社会にいそうな人たちを時に疑いながら、時に共感しながら読み進めていくうちに、その事件が解決したとき、作中の人物に照らし合わせて考えていた身の回りの誰かの見方が変わっている自分がいました。
第3の事件(事故?)については、未解決の状態で3巻終了なので、まだ何とも言えませんが、総じて面白く読めるのですが、続きが気になるためにモヤモヤとした読後感になりました。