本と映画と日常と

自分が読んだ本、鑑賞した映画と日常の徒然を書き留める備忘録ブログです。感想記事にはネタバレもありますので、各自の判断と責任のもと閲覧くださいませ。

【19.12.01.】『Op 夜明至の色のない日々』感想

 

Op-オプ-夜明至の色のない日々(2) (イブニングコミックス)
フリーの保険調査員・夜明至(よあけいたる)、バツイチやもめの38歳。
持ち込まれるのはやっかいな依頼ばかり。
そんな夜明のもとに舞い込んだのは、撮影中の火災事故で亡くなった人気映画監督・皆川賢吾の保険調査依頼。
感情が“色”で見える居候少年・玄(くろ)を伴い調査を進めるが、次第に皆川を取り巻く映画業界の複雑な人間関係が浮かび上がってくる。
「事故」か「自殺」か「殺人」か――夜明が導き出す真実とは?
希代のストーリーテラー・ヨネダコウが描く話題沸騰の新感覚ミステリー第2巻!

 

【ここから感想です】

 

ヨネダさんの心情描写が好きなので作家買いした作品です。
web掲載時に面白そうと思って1巻を買って読了したときは、まだ序盤で夜明さんの人となりや周辺人物の相関紹介巻という印象だったのですが、2巻に入ってようやく、作品全体を通して描こうとされているものを掴めたような気がします。
(私に読解力がないので、という意味です。)

Opものはマスター・キートンくらいしか読んだことがないのですが、ついそれと比較して読んでしまう部分があり、1巻のときはマスター・キートンとの違いが分かっていませんでした。
でも、2巻で1つの事故(または事件)がメインで扱われ、保険の被保険者が事故を装った自殺なのか、本当に事故だったのか、について夜明さんが調べていく過程で、この家族の「家族愛」の在りようなどに意識を持っていかれました。
真相を読み解きたい動機が、私の中でマスター・キートンのときは事件性メインだったのですが、本作では被保険者とその家族の愛情の在り方に意識を持っていかれ、やはりヨネダさんの作品は恋愛を含めた「愛情」を主軸にしたお話で、しかもそれが読後に切ないながらも「愛」というリアルで口にすると恥ずかしく感じてしまう言葉を「いいなあ」と思わせてくれるストーリーになっているな、と改めてしんみりさせてもらいました。

小話的な2つ目の調査のお話についても、短いのに祖母様への愛情を感じられる青年の人となりに寄り添ってしまい、その保険金申請について追及してくれた夜明さんに(ただの読者なのに。笑)感謝してしまったり、全然熱血じゃないのに一生懸命生きる人の助けになってくれる夜明さんにも改めて好感を持ちました。
ただ、いつか夜明さん自身も過去を乗り越えて普通に笑える日や、感覚を取り戻せる日がくるといいのだけどなあ、なんてほろ苦さもちょっと感じるラストではありました。
大人ってややこしいなあ、と(笑)
多分、玄くんも同じ思いで夜明さんと倫子さんを見ていることでしょう(笑)

ほかのレビュアーの方々も書かれていましたが、2時間枠のドラマに収まりそうなエピソードの長さと思われ、夜明さんは役者さんを選ばないキャラクターだと思うので、実写化されたらいいなあ、と思います。
夜明さんが担当される案件の家族の身に起こる出来事は、誰にでもあり得る出来事だと思うので、物語を通じて多くの人に何か感じてもらえるといいな、と思わせてくれる作品でした。
続刊も楽しみにしています。