本と映画と日常と

自分が読んだ本、鑑賞した映画と日常の徒然を書き留める備忘録ブログです。感想記事にはネタバレもありますので、各自の判断と責任のもと閲覧くださいませ。

【18.01.02.】『月とキャベツ』鑑賞

 

月とキャベツ [DVD]

月とキャベツ [DVD]

  • 発売日: 2001/03/23
  • メディア: DVD
 

あらすじ:
人気ミュージシャン・山崎まさよしの初主演映画。
『はつ恋』、『命』などで知られる篠原哲雄監督の初長編映画でもある。
かつてカリスマ的人気を誇ったミュージシャンの花火(山崎)は、今は意欲をなくして田舎にひっこみ、キャベツを栽培しながらひっそりと暮らしていた。
そんな彼の前に、ある日突然ヒバナ真田麻垂美)と名乗る謎の少女が現れて…。

上野彰吾キャメラマンによる透明感あふれる映像美の中、篠原演出ならではの優しく繊細で切ない男と女の関係性が、あたかもファンタジーのように描き出され、やがてそれはひたむきな前向きさへと化して、昇華されていく。
小品ながらも忘れ難い余韻を残す佳作。
山崎は本作品で音楽も担当している。(的田也寸志

平成8年度、文化庁優秀映画作品賞を受賞した篠原哲雄監督作品。
人気ミュージシャンの山崎まさよし主演。真田麻垂美鶴見辰吾、ダンカンほか。
amazon.com 内容紹介より)

【ここからネタバレ感想です】

 

昨晩は『秒速5センチメートル』がテレビ放映されていたそうですね。
twitterで『秒速~』の主題歌が山崎まさよしさんの『one more time,one more chance』と知って割と驚きました。
私の中では『月とキャベツ』この作品の主題歌という認識でしかなかったし、この作品のための楽曲という印象でいたので。笑
(実際には楽曲先行で、『月とキャベツ』は後発だったかと思います)

そんな気分の流れで、10年以上ぶりに再鑑賞しました。

amazonさんのレビューにもありますが、まさよしさんは歌手であって役者さんではないので、その辺は思い切り目をつぶって(苦笑)、ダンスの振り付けに関しても、まあ目をつぶって(苦笑その2)、ストーリーが10年以上を経た今でもやっぱり純愛過ぎて泣きました…。
かなりまさよしさんの歌声と歌詞に底上げされていると理性は諭してきますが、女子高生ならではのひたむきさは今昔問わずと言うか。
まさよしさん演じる花火はミュージシャンであり作詞作曲家でもある、というご本人等身大の人物で、曲を作れなくなった、歌えなくなった、という創り手の悩みは、身につまされる想いにもなりました。
そんな花火が再びピアノやギターを手に、新しい曲を作り始める原動力が、彼のファンだと言って押し掛けてきた謎の少女、ヒバナ
花火とダンスがヒバナのすべてであり、ある事情から、1年以上も曲を作らず表舞台にも立たず、グループも解散してしまった花火の復活を悲痛なほどの想いで信じ祈るヒバナの純粋な気持ちが次第に花火の心を開いていく物語です。

追い詰められた中でよい作品ができるはずもなく、自棄になっていた花火が再び音楽の世界に戻ろう…というか、音を作りたいという情動を掻き立てたのが、ヒバナへの想い。
2人ともとっても純粋で、ヒバナはキャベツの葉の擦れる音を
「羽ばたきの音みたい」
ととても豊かな感性で花火の心から創作心を刺激したり、花火は作り始めた楽曲を何度も試行錯誤しながらとつとつとヒバナに行き詰った部分を語ることで、ヒバナに創作ダンスのひらめきを与えたり、その関係性がとてもとても素敵で羨ましいと思わせます。

でも、残酷な現実が、どこかファンタジーな2人だけの世界に忍び寄ってきます。
途中から予感はしてしまうのですが、花火がその経験によって元のスランプに陥るのではなく、ヒバナのために完成させた歌詞を歌い上げて終わるところで号泣でした…。
あの歌詞は元々先にあったもので、この作品のために書き下ろされたわけではないのですが、この歌詞を活かす物語を書かれたのだと納得してしまうくらい、言葉では何もヒバナに伝えられなかった花火の想いが歌詞にこめられているようで、本当に、まさか0年以上も過ぎた今また泣かされるとは思いませんでした…。

できあがった曲を2人でピアノ演奏をし、ヒバナが万感の思いを込めて花火の手を包み、
「これからも歌うよね?」
と祈るように花火の両手を包む手に力を籠め、愛しげに撫で、というラブシーンは、どんな直截なラブシーンの演出よりも切なく甘いワンシーンです。
どれだけ彼女が花火の作品と人間性を愛おしんでいたかを感じ、同時に、どんな思いで「私を忘れないで」と極限の恐怖の中で願ったかなどなど、好きなシーンを挙げようとすると枚挙に暇ありません。

若い人がどう鑑賞するのか分かりませんが、『秒速5センチメートル』が現実に根差した切ない物語だとするなら、この作品は現実とファンタジーの狭間で2人の純愛のみに集中できる良作と言えるのではないかと思います。

と言いつつ、実は内容は知っているものの『秒速5センチメートル』自体を未鑑賞なままなので、今度こそ観ようと思います。
(『秒速~』は、主人公男子の成長の無さがどうにも…と思ってしまったので、なかなか積極的に鑑賞する気がなかったんですね。苦笑)
『秒速~』は小説で読んだのだろうか?
自分でもなぜ内容を把握しているのか覚えていないので、やっぱりこういう備忘録ブログが自分には必要だな、と再確認する機会にもなりました。汗

最後はほとんど雑記で感想になっていませんね、すみません。汗
最後に、山崎まさよしさんの楽曲PV貼り付けておきます。
名曲…(そしてまた嗚咽る)


山崎まさよし / One more time,One more chance