本と映画と日常と

自分が読んだ本、鑑賞した映画と日常の徒然を書き留める備忘録ブログです。感想記事にはネタバレもありますので、各自の判断と責任のもと閲覧くださいませ。

【20.03.08.】『群青にサイレン(11)』感想

 

群青にサイレン 11 (マーガレットコミックスDIGITAL)
あらすじ:
因縁の相手・丈陽との練習試合の途中で左腕を故障し、緊急降板を余儀なくされた空。
エースである幼馴染の為、チームの為に、マウンドに上がった修二はイップスを克服し、快投を見せた。
チームでの居場所を失ってしまったと感じて、落ち込んでいる空の前に、ある人物が現れるのだが…!?

 

【ここから感想です】

 

作者さんの巻末コメントなどから「ほかのレーベルなどで継続してくれるだろうか」と、別の意味でもハラハラしている作品です。
無事に続刊が出てくれたので嬉しかったです。

今回は、最新巻をざっくり読んだあとで1巻から読み返したのですが、改めて修二の成長の静かさに驚いてしまいました。
1巻では、あんなにも劣等感まみれで周りが見えてなくて逃げてばかりいたのに、この1冊では、総じて自分を俯瞰で分析できる修二の成長が描かれています。
対照的に、1巻では昏い面など知らなそうに見えた空が、修二と同じ普通の子だと感じたり、「クールだなあ」と思っていた角ケ谷くんと、彼にまつわるあれやこれやで、複雑な心模様に痛々しい気持ちになったり。
もっとシンプルに考えてもいいんだよ、と大人目線で思ってしまう一方で、そこを真摯に向き合って悩み苦しむからこそ若人なのだよなあ、と純粋さにまばゆさを覚えたりする内容でもありました。

10巻から今回の巻にかけて、監督も実は普通の葛藤する人なんだな、と好感度が上がりました。
監督が修二のお父さんとどういう関係だったのかも、今後が気になる点の1つです。

リアル書店が次々と閉店していることから、出版業界の厳しさをなんとなく感じているこのごろですが、よい作品の継続を改めてお願いしたいところです。
完結まで読ませてほしい作品です。